最近「予防歯科」という言葉がテレビでも多く聞かれる様になった。
予防歯科とは読んで字の如く、歯周病や虫歯になる前に予防する事。
歯科医院での処置内容としては、「治療(キュア)」ではなく「クリーニング」などを主体とする『ケア』。
ここで問題となって来るのが、これが健康保険適応か否かである。
先に結論から言うと、『予防は健康保険適応されない』。
日本における国民皆保険制度の絶対的なルール【病気になった時に適応】されるのが健康保険であり、いわゆる「疾病保険」である。
病名の付かない病気を防ぐための行為には適応されない。
インフルエンザのワクチンの予防接種や人間ドッグと同じである。
しかしながら、実際には多くの歯科医院で健康保険適応内でクリーニングをしているのが現状。
患者さんにとってはありがたい事だったが、国民医療費の増大に伴って国が厳しくチェックする様になって来た。
今現在、予防のクリーニングを自費で行っている歯科医院と健康保険を適応させて行っている歯科医院が混在しているのが事実である。
残念ながら保険適応させている歯科医院の方が患者さんの経済的には優しいのだが、ルール違反となってしまう。
では何故この様な事態になってしまったのかと言うと、そもそも歯石除去のようなクリーニングは「歯周病治療」の一環として行われている事に端を発する。
歯周病の治療においてはクリーニングは保険適応、これは歯周病と言う病名が付いているので当然OK。
しかしながら、歯周病治療が終了してからは本来であれば病名は付かないので自費。
では、「私の通っている歯医者さんは保険で定期的な予防のクリーニングやってくれているよ。」と言う人はどうなっているのか?
それは、単純明快で「病名」を付けてクリーニングをしているのである。
この事が「ルール違反」として厳しくチェックされる様になってきたのだ。
実際に歯周病かどうかは正直判断のしようがない訳だが、定期的なクリーニングという事で健康保険を適応していると、例えば3か月や半年に一度必ず歯周病になっているという事が情報として保険の審査側に伝わる。
すると「そんな訳ないですよね。」となる。
また、一人の患者さんだけでなく他の患者さんも3か月や半年に一度歯周病にかかっているという事になれば、本来病気でない予防処置に保険を使用している「ルール違反」が指摘されてしまう訳だ。
むろん、国も厚生労働省も『予防歯科』を否定している訳ではない。
むしろ積極的に行う事を推奨している訳だが、それと国の医療費負担を増やすと言うのは別の話だという事なのである。
予防をする事で結果、国の負担する国民医療費を減らしたい訳なので、その予防に国民医療費をあてないのは至極当然の理論であるとも言える。
本当に病気になっている人の治療のために医療費は負担されなければならない。
これが、日本の国民皆保険制度であり何でもかんでも保険適応ではないという事である。
もしこれに異論がある場合は「民間の会社の医療保険に入れば良い」訳だが、月々の保険料は高くなる。
ここらで、我々日本人は少し考え直して行かなければ行けないのではないだろうか?
健康保険と言うのはあくまでも病気になった時の文字通り「保険」。
本来病気にならない方が良いのは当たり前の事。
「病気にならないのに保険料払いたくない。」
「保険料払っているから病気にならなきゃ損。」
これは極端なものだが、変にケチな考え方は自分の体の事なのでやめた方が良いだろう。
自動車乗る時に保険に入っているが、事故を起こしたいと言う人はいないだろう?
事故を起こさないために車もメンテナンスや車検を行いますが、それが歯科の予防と同じである。
メンテナンスを行って事故(病気)になる確率を少しでも回避するのが、人生を快適に過ごせる道となるのではないだろうか。
そのためには、美容室に行く程度のお金はとても有意義な使い方であると思う。
それでも、もし病気になった時は保険を適応すれば良い。
ただし、日本の健康保険の適応範囲はあくまで最低限の治療となるため、もっと多くの治療費のカバーを求める人は前述したとおり民間保険に入る事をおすすめする。
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