週刊ポスト「やってはいけない歯科治療」の解説。実はそうじゃないPart3

2016/7/8号の週刊ポストに掲載された

「やってはいけない歯科治療」

これは年に何回かある新聞や雑誌による歯科医院叩きです。

この内容はPart1~4に分かれており、前回はPart2についてその記事の解説を行いました。

今回はPart3についての解説です。






雑誌記事サブタイトル:レジンで削らないと言う選択…

解説:初めから待って下さい…。

コンポジットレジン-いわゆるダイレクトボンディングと言われている直接充填法を発信している世界中の先生方の症例は、むしろ大学教育のコンポジットレジン充填の方法の歯質削除量と比べるとかなり多い。

もちろんコンポジットレジンは虫歯の大きさを選べば素晴らしい材料です、だからと言って削らない訳ではない。

型取りをする様な「間接修復」と呼ばれる治療と比較した場合には、「削る量を抑えられる」という表現にしないと間接修復よりも直接詰める方が優れていると言うイメージを一般の患者が持ってしまう。

どちらの治療方法にも適応・不適応があり決してその二つの方法の適応範囲が全て被っているのではない。



雑誌記事タイトル:一回で済む治療を避けている。

解説:これには≪賛≫も≪否≫もある。

個人的には初期の虫歯に関してはコンポジットレジンを適用すべきだと思う。

しかし、昔の治療の考え方に則っていまだ一級窩洞(咬む面だけの小さい虫歯)を銀歯に変えてしまう歯科医師もいる事は事実である。

こういった処置に関しては、一回でしかも削除量が少なく済むのに銀歯にしてしまうのはどうかと思う。

反対意見としては先にも述べた様に、一回で済まない治療だからそうしているのがほとんどという事である。

また、コンポジットレジンによる治療においても、型取りをして「コア」なるものを用いて二回法で治療する場合もある。

一回の治療で済むのを決して避けている訳ではなく、その歯科医師のベストの考えの基においてそうしていると捉えて頂きたい。



雑誌記事:レジンは普及が進まなかった。

解説:これは、数十年前のレジンがまだ物性的に優れているものではなかったという事であり、臨床的な確実なエビデンスが足りな過ぎたからである。

保険診療の売り上げの話をしていて型を取って銀歯を入れると点数が高いと記載されているが、削って型を取る保険点数は驚くほど低くまた装着時の点数の半分は歯科技工士に支払われる技工代金に消える。(歯科技工士法で言えば装着代の7割まで請求できる事になっている。)

対して、コンポジットレジンは材料代金だけをみれば、荒利益は9割を超える。

時代と共に変化をして今コンポジットレジンは普及を見せているので、昔の話を持ち出して今もそうかの様に紹介するのはいかがなものか?



雑誌記事:レジンの適応範囲が広がったが伝えられていない。

解説:これははっきりとした理由がある。

実際に歯科医師本人が自分の歯を治す際に、「小さい虫歯」であればコンポジットレジンで治して欲しいと言うかも知れない。

しかし、歯と歯の間に及ぶ虫歯になった時…ここで大きく意見は分かれる。

患者にはこのコンポジットレジン治療をするが、自分にはして欲しくない。

その様な歯科医師は少なくない。

それはやはりレジンの材質によるところではないだろうか?

ここであえてレジンの物性の細かい話はしませんが、多くの歯科医師が「自分の口には入れたくない」と言っているところから、多少はお察しして欲しい。



以上がPart3に対する解説であるが、この記事で一番の疑問は、何故あの有名国立大学の歯学部の教授まで務めた歯科医師がこの様な雑誌に出ているのかと言うのが大きな疑問であった。



続けてPart4についても解説をしたかったのだが、Part4はインプラント系のお話しで「色々なトラブルが報告されている」と言った実際に起こった事のお話しだったので、あえてそこに関しては何もいう事はありません。

ただし、インプラント患者の多くにはその様な事はないという事は認識して欲しい。

交通事故のニュースは記事になるが、その反面大多数いる優良運転者の事は記事にならないのと似ています。


Part4の中で最も気になったのは、色々と他院の事を語っている開業歯科医師がいましたが、自分は100%完璧なのかなと?

インプラントを行う歯科医師の6割がトラブルがあると言っている中で、この先生はゼロなのかと?

もしこの先生の経験の中で一度でもトラブルがあったとしたら、それはこの取材では言わずに他の歯科医師の落ち度だけを言っているとしたら…。

これ以上は悲しくなりますのでここまでにしておきます。



いずれにしても、ほとんどの歯科医師は毎日毎日一生懸命働いて、それでもそこまでの収入を得ている訳ではない。

休みの日には物凄く高いお金を払って勉強しに行っているのです。

それを、多くの歯科医師の事を「信用できない」などと言うのは言語道断!

ましてや、自分以外の歯科医師はまともにやってないなどと人を蹴落として、自分を上げようと考える歯科医師の方がよほど信用できません。


今回この記事を見た一般の方に是非知っておいて頂きたいのは、この週刊誌の意見は「極端な一方的な意見」であるという事。

現在歯科治療にかかっている人は、担当の先生に聞いてみて下さい。

多くの反対意見が聞けるはず。

そこで公正に判断するのはあなたです。


【追記】

次号があるような終わり方をしているのが少し気になります。





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週刊ポスト「やってはいけない歯科治療」の解説。実はそうじゃないPart2

2016/7/8号の週刊ポストに掲載された

「やってはいけない歯科治療」

これは年に何回かある新聞や雑誌による歯科医院叩きです。

この内容はPart1~4に分かれており、前回はPart1についてその記事の解説を行いました。

今回はPart2についての解説です。






雑誌記事:削って詰めないと保険請求が出来ない。

解説:歯はそもそも成長したあとは無細胞なのです。

皮膚の様に細胞に富んでいる組織ではないため、傷ついても勝手に修復されない。
では治療しないでどう治る?

夢の材料ドッグベストセメントも穴が開いていなければ入れられず、無痛治療の新材料カリソルブもこれまた穴が開いていなければ作用できない。

削る事自体が『悪』の様な表現はやめて頂きたい。

削って詰めるのは保険請求のためではなく、『治療』のためであるという事を何故世間に発信できないのであろうか?



雑誌記事:「痛い」のは削る必要の無い部分を削っている。

解説:これは理論的には合っている。

しかし、例えば無麻酔で治療を行っていたとするならば、「痛くない」うちに治療を終わらせているのならば虫歯を取り残している事になり、「痛い」のであれば削り過ぎ。

三次元的に虫歯になっているところの「痛い」と「痛くない」の境目を、この証言をしているこの有名大学病院の先生はどの様にこなしているのかと疑問に思う。

人には求めるが自分には出来ないでは言ったもの勝ちではないか?



雑誌記事:削れば削るほど歯の寿命は短くなる。

解説:こんな事は世の中の歯科医師全員がそう思っており、出来るだけ切削量を少なくするようにしています。

患者を煽るようなことはしないで頂きたい。

ちなみにこの先生はコンポジットレジンと言う直接的に詰める樹脂のスペシャリストであるため、どうしても間接的に詰める方法を否定しやすいと思いますが、多くの先生が直接的・間接的治療の境を考えながらベストな方法を一生懸命チョイスしているため、削りたくて削っている訳ではない事をご理解いただきたい。



雑誌記事:銀歯が虫歯の温床になる。

解説:確かに、日本の保険医療で使用されている銀歯の材料は海外では健康的な事を考えて使用禁止になっている国もあるため、あまり使用すべきではない。

しかし、その反面銀歯で20年、30年持っている人がいるのも事実である。

銀歯の隙間から虫歯になると言うのは、本人のプラークコントロール(歯磨きなどの口腔ケア)に大きな影響を受ける。

二次カリエスに関しては予防的な観点とその材料の選択(セラミックの様なもであれば自浄性が高い)、その冠の形態(形が悪ければ歯垢が溜まりやすくなる)が最も大きな要因である。



雑誌記事:丈夫な銀歯が歯の寿命を縮める。

解説:これは一理ありますが、一番影響があるのは咬み合わせの調整をどの位その歯科医師が丁寧に行っているかである。

もしこの意見を容認してしまったら、セラミックも今であればジルコニアもその次第である。



雑誌記事:口中の水銀リスク

解説:文中では「微量の水銀が溶け出し、健康被害が危惧されてきた。」とあるが、危惧されてきただけで実際の被害は聞いた事がない。

ただし、やはり診療室や口腔内において水銀の含まれるものは扱うべきではないと思う。


以上が週刊ポストでの歯科医院バッシングの記事に対する解説Part2です。

次回はPart3です。





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