2014年5月に歯科ディーラーの最大手である「株式会社ササキ」が実施した、〝歯科医院のホームページに対する意識調査”についてのアンケートが今ままでになく分かりやすいものであり、またアナログ時代からデジタル時代へと大きく変化している時代を良く表している結果となった。
また、この結果はこれからホームページを作る歯科医院や既にあるがカスタマイズする予定の医院にとって、非常に有益な情報になる事が予想されるためあえてここで紹介したいと思う。
アンケート調査は全国を大きく8ブロックに分け、各250人の総数2000人の20~50代の歯科通院経験のある男(45.3%)女(54.7%)に対して行われた。
インターネットを閲覧する際の使用機器はパソコンが81.8%と圧倒的に多く、ついでスマートフォン14.7%、タブレット端末3.0%、ガラケー0.5%、その他0.1%である。
これらを踏まえて今回は
【歯科医院のイメージついて】のアンケートの回答を紹介する。
①歯科医院にどの様なイメージを持っていますか?(複数回答)
・虫歯の治療をするところ 65.5%
・治療期間が長い 53.9%
・痛くて怖い 38.8%
・予防のために定期的に行くところ 38.2%
・痛くなってから行くところ 25.2%
・健康になれる 12.4%
・信頼できる 10.9%
・リラックスできる 4.7%
・その他 2.1%
② 5年以内に歯科医院に通院した方の理由。
・虫歯などの治療で通った 78.1%
・予防メンテナンスのために通った 40.8%
・ホワイトニングのために通った 7.5%
・歯の見た目を綺麗にするために通った 4.3%
・矯正のために通った 3.2%
・その他 3.7%
③歯科医院で自費診療を受けた事がありますか?
・はい 36.1%
・いいえ 64.0%
④歯科医院を探す時に参考にする情報を、新しく探す場合または過去に通った経験からお答え下さい。(複数回答)
・自宅や勤務先から通いやすいかどうか 67.7%
・家族や知人などからの口コミ 59.2%
・歯科医院のホームページ 39.5%
・インターネットの医療系情報サイト 24.2%
・GoogleやYahooなどの検索サイト 18.3%
・個人運営のホームページやブログなどのインターネットの口コミ 11.8%
・駅や電柱に配置された看板広告 4.0%
・雑誌や新聞などのインタビュー記事 3.9%
・歯科医師が著者の書籍 2.6%
・その他 1.1%
⑤歯科医院を決める時どんな点を決め手にしますか?新しく探す場合または過去に通った経験からお答え下さい。(複数回答)
・自宅や職場から通いやすい 69.3%
・歯科医師の腕がいい(仕上がりが綺麗、壊れないなど) 63.6%
・健康保険が使える 50.0%
・歯科医師が治療内容を分かりやすく説明してくれる 48.1%
・受付や歯科衛生士などのスタッフの対応が良い 38.7%
・痛くない治療をする 34.3%
・施設が綺麗で入りやすそう 32.2%
・通院期間が短い 27.4%
・治療機器に最新のものが揃っている 19.5%
・治療費の目安が事前にわかる(ホームページやパンフレットなど) 18.7%
・夜間や休日診療をしている 15.4%
・消毒・滅菌の機器や器具が最新である 14.4%
・子供連れに優しい(キッズコーナーがあるなど) 7.8%
・複数の歯科医師がいる 6.3%
・女性の歯科医師がいる 3.3%
・その他 1.2%
分析
以上「歯科医院のイメージについて」と言うパートについての結果である。
これらの結果を分析すると、まず①②における大きな意味での歯科医院のイメージで①の意見の多くはやはり良いイメージではない。
しかし、その中でも「予防のために行くところ」と言う回答が38.2%もあるという事が大きな変化ではないかと思う。
これは、やはりここ数十年かけて歯科医師や厚生労働省、歯科メーカーなどが、健康な歯を維持するという事の啓蒙活動を一生懸命行って来た賜物であろう。
次に、「自費診療を受けた事があるか」と言う問いの答えは、「はい」と「いいえ」の二つだけであるが、これは各歯科医院が基準のどこにあるのかを確認することが出来る。
一般的に日本の歯科医院ではほとんどの歯科医院が保険診療と自費診療(保険外診療)の両方を行っている。
そこで、経営的な相談の際に必ず話に上がるのが『自費率』である。
総売り上げに対する自費診療の売り上げの割合である。
通常自費診療の方が様々な種類の優れた道具や材料、治療法が出来るため、歯科医師は自費診療を出来ればやりたいと心の中では思っている。
もちろん患者一人から発生する売上は保険診療よりもかなり高いため、経営的にも非常に助かる訳である。
しかし、自費率が高ければ決していいと言う訳ではない。
自費率100%の総売り上げ1000万円の歯科医院よりも、自費率0%の総売り上げ2000万円の歯科医院の方が経営的には安定しているので、あくまでその歯科医院のトータル的な治療方針や経営方針の中で変化するものと考えておくべきであろう。
であるから、トータル的に考えての事なので歯科医師は決してお金が欲しくて自費診療を薦めてくる訳ではなく、その患者患者にあったプランの一つ、またはそうしなければ治療が出来ないと言う場合に適応して薦めてくるのである。
保険診療では思う様に出来ない事に嫌気の指した歯科医師は自費診療専門の歯科医院を開いたり、もしくは保険診療は窓口としては設けているが実際には自費診療のみを行う方針の歯科医院も最近では珍しくない。
また、その真逆のほとんど自費診療は行わず保険診療で出来る範囲の診療を行い多くの患者を診療するというスタイルの歯科医師・歯科医院もある。
さらに、最も多いその中間の歯科医院が保険診療をメインでやりながら、その中から希望する患者がいれば自費診療を行うスタイルである。
この最も多い歯科医院における自費率の平均は大体15%~25%程度と言われていたのが、今回の回答では36.1%の人が自費診療をした事があると答えているのに、時代の流れとともに新たな基準が出来つつあるように感じる。
そして、これに答えを出すかのような質問が④であり、「どんな情報を参考にするのか?」という『情報』である。
一昔前であれば、その歯科医院に行った人からの情報しか得られなかったものが、今はインターネットにあるあらゆる情報からその歯科医院の情報が簡単に手に入る訳であるが、それと同じくして歯科に関する情報も多くあり、歯に対する関心も高まり「本当に良いもの」を知る事が出来るようになったと思われる。
④においても10ある回答のうち4つがインターネットに関する情報についてである。
もちろん、「近い」と「口コミ」は相変わらず信用のおける情報源としては揺るぎがない。
最後に⑤の結果についてであるが、ほとんどはその通りの回答ばかりであるが、一つだけ目につくものに「複数の歯科医師がいる」というものがある。
6.3%でそこまで多くはない回答であるが、2000人アンケートの中で言えば120人くらいがそう答えている訳になる。
複数の歯科医師がいてもその時処置する歯科医師は一人だけなので何の意味があるのか?
おそらく、複数の歯科医師がいる=人気がある、活気があって明るい、歯科医師同士のディスカッションがなされる、その歯科医師が合わなくても他の歯科医師に変更できる、などなどあらゆる事が考えられる。
確かにこの歯科医師・歯科医院過剰問題の世の中で他の歯科医師を雇わなくてはならないくらい患者が来院するというのは、人気歯科医院ということなのかもしれない。
まとめ
歯科医院に対するイメージというのはあまり大きく変化していないが、『予防』に関しては新たに人々に染みついて来ている。
また、自費診療についても比較的多くの人達が経験するようになってきた。
これらは歯科関係者の努力もあるが、インターネットの休息の普及による情報の供給が十分になされてきている結果であると言える。
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歯茎が痛い
歯茎が腫れている
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舌の縁がギザギザしている
口臭がする
顎が痛い
顎が鳴る
顎がしゃくれている
口が開かない
朝起きると首が痛い
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歯ぎしりをする
食いしばりをする
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